はじめに
「最近、疲れが抜けない」「やる気が出ない」「夜の元気がなくなった」。こうした変化が続くと、男性更年期障害(LOH症候群)かもしれないと気になってきます。ところが、いざ受診しようとすると、「そもそも何科に行けばいいのか」で止まってしまう方が少なくありません。
男性更年期は、女性の更年期のように「婦人科」と決まった窓口があるわけではありません。そのため、どこへ行けばよいか迷うのは自然なことです。この記事では、相談できる診療科の違いと、自分に合った病院の選び方を整理します。男性更年期障害そのものについては症状ページやLOH症候群の解説コラムもあわせてご覧ください。
男性更年期で相談できる診療科
男性更年期の相談先として、主に次の4つが挙げられます。どれが「正解」ということはなく、症状の中心がどこにあるか、どんな診療を望むかで選び方が変わります。
| 診療科 | 主な特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|
| 泌尿器科 | 男性ホルモンの測定や補充療法を扱う施設が多い。前立腺の検査もあわせて受けやすい | 性機能の悩みが中心で、まず専門的な検査を受けたい方 |
| 内科 | 全身の不調を幅広く診てもらえる。ホルモン検査の扱いは施設によって異なる | かかりつけ医がいて、まず体全体を確認したい方 |
| 心療内科・精神科 | 気分の落ち込みや不眠など、心の症状を中心に診る。うつ病との見分けにも対応する | 気分の落ち込み・不安・不眠が特に強い方 |
| メンズヘルス外来・専門外来 | 男性ホルモンや性機能の相談に特化している。自由診療が中心の施設が多い | 通いやすさやプライバシーを重視したい方 |
どこを選んでも、最初の入口は問診と血液検査です。ですから、「診療科選びで間違えたら大変」と身構えすぎなくて大丈夫です。合わないと感じたときは、別の施設に相談し直すこともできます。
診療科ごとの特徴と向き不向き
泌尿器科
男性更年期の診療でもっとも名前が挙がるのが泌尿器科です。男性ホルモンの血液検査や、前立腺の状態を調べるPSA検査になじみがあり、泌尿器科の学会がまとめた診療の手引きにもとづいて診断を進める医療機関も多く見られます。勃起や排尿など、泌尿器に関わる悩みがあわせてある場合は相談しやすい窓口です。
一方で、泌尿器科でも男性ホルモンの測定や補充療法を行っているかどうかは施設ごとに異なります。事前にホームページや電話で、「男性更年期(LOH症候群)の相談ができるか」を確認しておくと安心です。
内科
「何が原因かわからないが、とにかくだるい」という場合、まず内科で全身をチェックするのも一つの方法です。糖尿病、甲状腺の病気、貧血、睡眠時無呼吸など、男性更年期と似た症状を起こす病気を先に除外できる点は大きな利点です。
ただし、男性ホルモンの検査や治療まで対応しているかは医療機関によって違います。内科で他の病気が見つからなかった場合に、泌尿器科や専門外来を紹介してもらう流れになることもあります。
心療内科・精神科
気分の落ち込み、イライラ、不安、眠れないといった心の症状が前面に出ている場合は、心療内科や精神科が選択肢になります。男性更年期の症状は、うつ病とよく似ていることがあります。心の不調が強いときは、まず心の病気がないかを確認してもらうことが大切です。
なお、うつ病の治療が中心になる場合でも、あわせて男性ホルモンの値を確認したほうがよいケースがあります。気になるときは、受診時にその旨を医師へ伝えてみてください。
メンズヘルス外来・専門外来
男性ホルモンや性機能の悩みに特化した外来です。この分野に絞って診ているため、問診から血液検査、治療方針の相談まで一続きで進めやすいのが特徴です。予約制で待ち時間が少ない、夜や土日に対応している、他の患者さんと顔を合わせにくい配慮がある、といった施設も多くなっています。
多くは自由診療(保険適用外)で、費用は全額自己負担になります。費用の考え方は次の章で整理します。当院のテストステロン外来もこのタイプで、渋谷・梅田・博多で診療しています。クリニック一覧からご確認いただけます。
保険診療と自由診療の違い
診療科選びと同じくらい大切なのが、保険診療か自由診療かという点です。男性更年期の治療は、一定の診断基準(血液検査での遊離テストステロン値の低下など)を満たした場合に、保険診療で受けられることがあります。ただし、使える薬の種類や投与間隔にはルールがあります。
| 保険診療 | 自由診療 | |
|---|---|---|
| 費用 | 自己負担は加入している健康保険の負担割合(原則3割など) | 全額自己負担 |
| 治療の選択肢 | 診断基準や薬剤にルールがある | 症状や希望に合わせて組み立てやすい |
| 通いやすさ | 混雑や待ち時間が出やすい施設もある | 予約制で、夜間・土日対応の施設も多い |
どちらが優れているということではなく、「費用を抑えたい」のか、「通いやすさや選択肢を重視したい」のかで考えるとわかりやすくなります。治療法ごとの違いは男性更年期障害の治療についてのコラムで詳しく解説しています。
病院選びで確認したい5つのポイント
診療科が決まっても、同じ科の中で施設ごとに違いがあります。受診前に次の5点を確認しておくと、「思っていた診療と違った」を減らせます。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 男性更年期の診療実績 | ホームページに「男性更年期」「LOH症候群」「テストステロン」の記載があるか |
| ホルモン検査の内容 | 総テストステロンだけでなく、遊離テストステロンも測定するか |
| 前立腺などの検査 | 治療前後にPSA検査や血液検査で状態を確認する体制があるか |
| 費用の説明 | 初診料・検査費・治療費が事前にわかるか。保険か自由診療か明記されているか |
| 通いやすさ | 予約の取りやすさ、診療時間、自宅や職場からの距離、プライバシーへの配慮 |
とくに見落としやすいのが2つ目です。男性ホルモンは体内で実際に働いている「遊離テストステロン」が重視されるため、どの項目を測るのかは確認しておきたいところです。また、無理に治療を勧められないか、必要がなければその旨を説明してくれるかといった、医師の説明の姿勢も大切な判断材料です。
受診前に準備しておきたいこと
診察を有意義にするために、事前に次のことをメモしておくと便利です。
| 準備すること | 具体例 |
|---|---|
| 症状のメモ | いつ頃から、どんな症状が、どのくらいの頻度で出ているか |
| 生活習慣 | 睡眠時間、お酒・タバコの量、運動習慣、仕事のストレスなど |
| 服用中の薬 | 持病の薬、サプリメント、市販薬の名前(お薬手帳があれば持参) |
| 過去の健康診断 | 血糖値、血圧、コレステロール、PSAなどの結果があれば持参 |
テストステロンは午前中に高くなる傾向があるため、血液検査を午前中に行うことが勧められています。予約の際に採血の時間帯を確認しておくとよいでしょう。症状の点数化には、当サイトの簡易セルフチェックも使えます。受診前の目安としてご活用ください。
こんなときは早めの受診を
男性更年期の症状はゆっくり進むことが多く、「年齢のせい」と見過ごされがちです。次のような状態が数週間以上続くときは、一度医療機関に相談してみてください。
疲れが休んでも取れない、朝からやる気が出ない、集中力が落ちた、イライラしやすくなった、性欲や勃起力が落ちた、眠りが浅い、筋肉が落ちて体脂肪が増えた、といった変化です。ひとつだけでなく、いくつか重なっている場合は目安になります。疲れやすさの背景にある病気について知りたい方は疲れやすいのは何の病気?のコラムもご参照ください。
まとめ
男性更年期の相談先は、泌尿器科、内科、心療内科・精神科、メンズヘルス外来などがあり、どこから始めても問診と血液検査が入口になります。性機能の悩みが中心なら泌尿器科や専門外来、全身のだるさが中心なら内科、気分の落ち込みが強ければ心療内科、というのが目安です。
大切なのは、完璧な診療科を選ぶことよりも、早めに一度相談してみることです。「歳のせい」とあきらめず、まずは現在の状態を数値で確認するところから始めてみてください。
本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の治療法や医薬品を推奨するものではありません。症状の原因や治療の適否は個人によって異なります。当院のテストステロン増強治療は自由診療(保険適用外)です。受診や治療については、必ず医師にご相談ください。
